飲食店・店舗向け:無料ツールで集める顧客リストと活用法
顧客リストの重要性とは
店舗ビジネス、特に飲食店や地域密着型のサービスを提供する事業者様にとって、一度来店されたお客様との関係性をいかに継続していくかが、安定した経営において非常に重要になります。新規のお客様を獲得することも大切ですが、リピーターになっていただくことで、広告費を抑えつつ売上を積み上げることが可能になります。
そのリピート集客やファン育成の基盤となるのが、「顧客リスト」です。顧客リストがあれば、お客様に対して直接的に新商品やキャンペーン、イベントなどの情報を届けられるようになります。これは、SNSやWebサイトでの発信ではリーチしきれないお客様にも、確実に関係を築くための有効な手段となります。
しかし、「顧客リストの作成や管理には専門的なシステムが必要では」「コストがかかるのでは」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。実は、無料または非常に低コストで、この顧客リストを作成・管理し、活用を開始する方法があります。
無料ツールで顧客リストを集める方法
予算をかけずに顧客リストを集めるためには、身近にある無料ツールや、ちょっとした工夫が有効です。ここでは、初心者の方でもすぐに始められる具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. Googleフォームを活用したアンケートや登録フォーム
Googleフォームは、Googleアカウントがあれば誰でも無料で使えるアンケート作成ツールです。これを使って、来店されたお客様向けのアンケートを作成し、氏名やメールアドレス、LINEアカウント情報などの個人情報を、お客様の同意を得て収集することができます。
- 具体的な手順:
- Googleフォームで新しいフォームを作成します。
- 「氏名」「メールアドレス」「LINEアカウント(任意)」といった情報を入力してもらう質問項目を追加します。
- お客様が情報を提供することに同意したことを確認するためのチェックボックス項目(「新商品やお得な情報の配信を希望します」など)を必須項目として追加します。個人情報保護方針への同意についても記載します。
- フォームへのリンクを含むQRコードを作成し、店内のテーブルに置いたり、レジ横に掲示したりします。
- お客様に「アンケートにご協力いただくと、次回使える〇〇円引きクーポンをプレゼントします」「お誕生日月に特典をお届けします」といった形で、回答のメリットを提示すると、情報提供へのハードルが下がります。
収集した回答はGoogleスプレッドシートに自動的に蓄積されるため、管理も容易です。
2. 手書きアンケートとスプレッドシート管理
デジタルツールに抵抗がある場合や、よりアナログな方法を好むお客様が多い場合は、シンプルな手書きのアンケート用紙を用意する方法もあります。
- 具体的な手順:
- 氏名、メールアドレス、住所、生年月日などの記入欄と、情報提供の同意欄を設けたアンケート用紙を作成します。
- 記入していただいた情報を、後ほどパソコンのGoogleスプレッドシートやExcelなどの表計算ソフトに入力していきます。
- この方法は入力の手間がかかりますが、特別なツールや知識が不要なため、すぐに始められます。
3. SNSやブログと連携した登録促進
LINE公式アカウントやブログ記事、SNS投稿などで、特典付きのメルマガ登録や限定情報配信のための登録を呼びかけます。この際にも、登録フォームとしてGoogleフォームを利用したり、LINE公式アカウントの友だち追加を促したりする方法が有効です。
集めた顧客リストの管理方法
集めた顧客リストは、適切に管理することが不可欠です。無料ツールとしては、Googleスプレッドシートが最も手軽で一般的です。
- Googleスプレッドシートでの管理:
- Googleフォームで収集した場合、回答は自動的にスプレッドシートにまとまります。手書きで集めた場合も、このスプレッドシートに入力して一元管理します。
- 氏名、メールアドレス、取得日時、同意状況、お客様の属性(誕生日、来店回数など、収集した情報に応じて)といった項目で列を作成し、整理します。
- シートを適切に整理し、バックアップを定期的に取ることを推奨します。
- 重要な注意点: 顧客情報は個人情報です。取り扱いには細心の注意を払い、セキュリティ対策を講じてください。パスワード保護されたファイルで管理する、アクセスできる人を限定するなどの対策が必要です。
顧客リストの活用方法
集めた顧客リストは、宝の山です。これを活用して、リピート集客や売上アップにつなげましょう。
1. メールでの情報発信
収集したメールアドレス宛に、定期的に情報メールを送信します。
- 新メニューのお知らせ
- 期間限定キャンペーンやセール情報
- イベントの告知
- お客様への感謝のメッセージ
- メールマガジン限定クーポン配布
無料のメールマガジン配信スタンドの中には、件数や登録者数に上限がありますが、小規模ビジネスであれば無料で利用開始できるものもあります。(ただし、本格的な運用には有料プランが必要な場合が多いです。まずは登録者数が少ないうちは手動で送る、Gmailのグループ送信機能を利用するなど、無料の範囲で試してみることも可能です。)
2. LINE公式アカウントでの情報発信
LINEアカウント情報を取得できたお客様には、LINE公式アカウントを通じて情報を発信します。LINEは開封率が高く、お客様との距離が近いコミュニケーションに適しています。
- 1対1のメッセージでの問い合わせ対応
- ショップカード機能によるポイント付与
- クーポン配布
- タイムライン投稿による情報発信
LINE公式アカウントは無料プランでも十分な機能が利用できるため、非常に強力なツールです。(既存記事「ゼロから始めるLINE公式アカウント!飲食店・店舗の無料集客術」も合わせてご参照ください。)
3. 誕生日特典や限定クーポンの送付
顧客リストに誕生日情報がある場合、誕生日月に合わせて特別なメッセージやクーポンを送付することで、再来店を促す強力な動機となります。スプレッドシートで誕生日リストを作成しておけば、管理も容易です。
始める上での注意点
- 個人情報保護と同意取得: 最も重要な点です。情報収集の際は、必ず何のために情報を利用するかを明確に伝え、お客様の同意を得てください。同意なく情報を収集したり、同意を得た目的以外に利用したりすることは法律違反となる可能性があります。
- 過度な情報発信を避ける: あまり頻繁に情報を送りすぎると、お客様に煩わしいと感じられてしまい、ブロックされたり、購読解除されたりする可能性があります。情報発信の頻度や内容は、お客様にとって有益で価値のあるものになるように心がけてください。
- 効果測定: どのような情報発信がお客様の反応(来店や購入など)に繋がったかを可能な範囲で記録し、改善に活かしていくことが重要です。
まとめ
顧客リストの作成と活用は、お金をかけずにリピート集客を強化し、お客様との長期的な関係を築くための非常に有効な手段です。GoogleフォームやGoogleスプレッドシートといった無料ツールを活用すれば、デジタルマーケティングの知識がほとんどない初心者の方でも、すぐに始めることができます。
まずは、来店されたお客様にアンケートや登録フォームへの協力を促すことから始めてみてください。そして、集まったリストに対して、丁寧で価値のある情報発信を続けていくことで、お客様はきっとあなたの店舗のファンになってくれるはずです。難しく考えず、「お客様ともっと繋がりを持つための第一歩」として、ぜひ今日から取り組んでみましょう。