お金をかけずに顧客を管理!無料スプレッドシートとフォームで始める簡単ステップ
小規模なビジネスや店舗を運営されている皆様にとって、集客は常に重要な課題です。そして、新規のお客様を増やすことと同じくらい、すでにご来店いただいたお客様にリピーターになっていただくことも大切です。リピーターのお客様は、安定した売上に貢献してくださるだけでなく、お店のファンとして口コミや紹介を通じて新たな集客にも繋がることがあります。
リピーターを増やすためには、お客様のことを理解し、一人ひとりに合わせた情報提供やサービスを行う「顧客管理」が非常に有効です。しかし、「顧客管理」と聞くと、高額なシステムが必要なのではないか、専門知識がないと難しそう、といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ご安心ください。実は、普段お使いの身近な無料ツールを活用するだけでも、顧客管理の第一歩を十分に踏み出すことができます。この記事では、特に「Googleスプレッドシート」と「Googleフォーム」という無料ツールを使って、お金をかけずに顧客管理を始めるための簡単なステップをご紹介します。
なぜ無料ツールで顧客管理を始めるのか
顧客管理システム(CRM)は非常に高機能ですが、導入や運用にコストがかかります。まだお客様の数がそれほど多くない場合や、まずは基本的なことから始めてみたいという段階であれば、無料ツールで十分な機能を代替できます。
Googleスプレッドシートは表計算ソフトとして広く使われており、お客様の情報を一覧で整理するのに適しています。Googleフォームは、アンケートなどでお客様から情報を収集する際に手軽に利用できます。これらのツールはインターネット環境があればどこからでもアクセスでき、複数人で情報を共有することも可能です。
お金をかけずに顧客情報を一元管理し、リピーター育成のための準備を始めることが、無料ツール活用の最大のメリットです。
ステップ1:Googleスプレッドシートで顧客リストの項目を決める
まず、Googleスプレッドシートを開き、新しいスプレッドシートを作成します。ここに、管理したいお客様の情報を入力するための項目(列)を定義します。最初は必要最低限の項目から始めるのがおすすめです。
小規模な飲食店や店舗であれば、例えば以下のような項目が考えられます。
- お客様番号(自動採番または手入力):お客様を一意に識別するための番号です。
- 氏名:お客様のお名前です。ニックネームや屋号でも構いません。
- 連絡先(電話番号、メールアドレス、LINE IDなど):お客様と連絡を取るための情報です。連絡手段は複数あっても構いません。
- 住所:必要に応じて登録します。地域密着型ビジネスでは有効な情報です。
- 最終来店日:いつ頃ご来店いただいたかを記録します。
- 来店頻度(例:週1回、月1回、年に数回):おおよその来店頻度を記録します。
- 来店時の好み(例:カウンター席、窓際席、特定のメニューが好き、アレルギーなど):接客時に役立つ情報です。
- 誕生日/誕生月:バースデー特典などの際に活用できます。
- 情報提供の同意(例:メールマガジンOK/NG、DM OK/NG):DM送付などの許諾状況を記録します。
- 初回来店きっかけ(例:知人の紹介、ネット検索、SNS):どの集客施策が効果的だったかを知るヒントになります。
- メモ:お客様に関する特記事項や会話の内容などを自由に記録します。
これらの項目を見出しとしてスプレッドシートの1行目に入力します。
例:
お客様番号 | 氏名 | 電話番号 | メールアドレス | 最終来店日 | 来店頻度 | 来店時の好み | 誕生月 | 情報提供同意 | 初回きっかけ | メモ
ステップ2:手元にある情報をスプレッドシートに入力する
現在、お店で管理している顧客情報(例えば、ポイントカードの申込書、予約台帳、過去のアンケート用紙など)があれば、それらの情報をステップ1で作成したスプレッドシートに入力していきます。
入力する際は、項目ごとに形式を統一すると、後で情報を整理したり活用したりしやすくなります。例えば、日付は「YYYY/MM/DD」形式、電話番号は「XXX-XXXX-XXXX」形式など、簡単なルールを決めておくと良いでしょう。
この作業は時間がかかるかもしれませんが、一度整理してしまえば、その後の顧客管理が非常に楽になります。
ステップ3:Googleフォームで新しい顧客情報を収集する仕組みを作る
新しいお客様の情報や、既存のお客様の追加情報を効率的に収集するために、Googleフォームを活用します。例えば、以下のようなフォームを作成できます。
- 来店アンケートフォーム:来店されたお客様にQRコードなどで案内し、回答していただくことで、感想と合わせて連絡先や誕生月などを収集します。
- 会員登録フォーム:メールマガジンやLINE公式アカウントへの登録と同時に、任意の情報を入力していただくフォームです。
- 問い合わせフォーム:ウェブサイトやSNSに設置し、問い合わせてくれたお客様の情報を管理します。
Googleフォームでは、テキスト入力、ラジオボタン、チェックボックス、プルダウンなど、様々な形式で質問を設定できます。
フォームを作成したら、回答の保存先として「Googleスプレッドシートにリンク」を設定します。こうすることで、フォームに回答があった際、自動的にステップ1で作成した顧客リストのスプレッドシート(または別の新しいシート)に情報が追加されていきます。手入力の手間が省け、入力ミスも減らせます。
アンケートフォームの設置場所例: * 店内のテーブルに設置したPOPのQRコード * レシートやショップカードへの印字 * お店のウェブサイトやブログ * SNSのプロフィールや投稿
ステップ4:収集した情報を活用してリピーター育成に繋げる
スプレッドシートに蓄積された顧客情報をただ眺めるだけでなく、積極的に活用することが重要です。
例えば、以下のような活用方法が考えられます。
- 常連客の把握:最終来店日が新しいお客様、来店頻度が高いお客様をフィルター機能で抽出し、常連客として把握します。ご来店時に特別な声かけをしたり、サービスを提供したりする準備ができます。
- 誕生月のお客様へのアプローチ準備:誕生月の項目で絞り込み、該当するお客様にDMや特典案内のメール、LINEを送る準備をします。
- 好みに合わせた情報提供の準備:特定のメニューを好むお客様や、アレルギー情報があるお客様を把握し、新メニューの案内や注意喚起を個別に行う際のリストとして活用します。
- 「ご無沙汰」のお客様へのアプローチ準備:最終来店日が一定期間以上前のお客様を抽出し、再度ご来店いただくためのキャンペーン案内などを送る準備をします。
このように、スプレッドシートの情報を活用することで、画一的な対応ではなく、お客様一人ひとりに合わせた温かいアプローチが可能になります。これがリピーター育成に繋がります。
顧客管理を行う上での注意点
無料ツールで手軽に始められる顧客管理ですが、お客様からお預かりする個人情報は非常に重要です。以下の点に注意しましょう。
- 利用目的の明確化と同意の取得:何のために情報を収集し、どのように利用するかをお客様に明確に伝え、同意を得てから情報を登録するようにしましょう。アンケートフォームに利用目的を記載したり、口頭で説明したりする方法があります。
- セキュリティ対策:スプレッドシートやフォームへのアクセス権限を限定するなど、情報が漏洩しないように基本的なセキュリティ対策を行いましょう。
- 情報の更新と管理:お客様の状況は変化します。引っ越しや連絡先の変更など、可能な範囲で情報を最新の状態に保つよう心がけましょう。
まとめ
お金をかけずに顧客管理を始めることは、GoogleスプレッドシートとGoogleフォームという無料ツールを使えば十分に可能です。まずはスプレッドシートで基本的な顧客リストを作成し、Googleフォームで新しい情報を収集する仕組みを作り、そして蓄積された情報を活用して、お客様との関係性を深める一歩を踏み出しましょう。
高度な機能を持つ有料システムでなくても、こうした身近なツールを活用することで、お客様一人ひとりを大切にする姿勢を示し、リピーターになっていただくための基盤を築くことができます。ぜひ、今日からできることから始めてみてください。