お客様をファンにする!無料メルマガで実現するリピート集客術
はじめに:メールマーケティングは「終わった」手法ではない
デジタルマーケティングと聞くと、SNSやWeb広告といった新しい手法をイメージされるかもしれません。しかし、費用をかけずに顧客との繋がりを深め、リピートを促進する上で、メールマーケティングは今なお非常に有効な手段です。特に、一度来店・利用してくださったお客様との関係を維持し、再度お店に足を運んでいただくためには、メールが強力なツールとなり得ます。
「メールなんて誰も読まないのでは」と思われるかもしれませんが、実は特定のお客様へパーソナルな情報を届けたい場合に、メールは非常に効果的です。そして、このメールマーケティングを始めるのに、必ずしも高額な費用はかかりません。無料または低コストで利用できるツールを活用すれば、皆様のビジネスでもすぐに実践できます。
この章では、デジタルマーケティングの経験がほとんどない初心者の方でも、予算をかけずにメールマーケティングを始め、お客様をファンに変え、リピート集客に繋げるための具体的なステップをご紹介します。
なぜ地域ビジネス(飲食店など)にメールマーケティングが有効なのか
地域に根差した小規模ビジネス、例えば飲食店や美容室、小売店などにとって、一度来店されたお客様に再び利用していただく「リピート集客」は売上安定の鍵となります。
新しいお客様を獲得するには広告費などがかかる場合が多い一方、既存のお客様へのアプローチは比較的少ないコストで行えます。その中でもメールは、お客様が自ら登録してくださった連絡手段であり、お店からの情報を受け取ることに同意してくださっている可能性が高い媒体です。
- パーソナルな情報伝達: 不特定多数に向けたSNS投稿とは異なり、メールでは「○○様」といった宛名と共に、より個人的なメッセージを送ることができます。これにより、お客様は「自分向けの情報だ」と感じやすく、特別感を抱きやすくなります。
- プッシュ型での情報提供: お客様がSNSを開いたり、Webサイトを訪問したりするのを待つのではなく、お店側から能動的に情報を届けられます。これにより、忘れられがちな存在から、思い出してもらいやすい存在へと変わることができます。
- セグメント配信の可能性: 将来的には、お客様の来店履歴や興味関心に応じて、送るメールの内容を変えるといった高度な使い方も可能です。これにより、よりお客様一人ひとりに響く情報を提供できます。
これらの理由から、メールマーケティングは特にリピート率を高めたい地域ビジネスにとって、強力な武器となり得るのです。
ゼロ予算・低コストで始めるメールマーケティングのステップ
それでは、具体的にどのようにメールマーケティングを始めれば良いのでしょうか。初心者の方でも取り組みやすいステップで解説します。
ステップ1:無料または低コストで利用できるメール配信ツールを選定する
本格的なメールマーケティングシステムは高価なものが多いですが、まずは無料プランや安価なプランがあるツールから始めるのがおすすめです。
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検討すべきツールの特徴:
- 無料プランの有無: 最初は無料で試せるかが重要です。
- 読者登録数の上限: 無料プランで何人までリスト登録できるか確認します。
- 月間配信数の上限: 無料プランで月に何通まで送れるか確認します。
- 使いやすさ: 初心者でも操作しやすいインターフェースであるか。
- 登録フォーム作成機能: お客様がメールアドレスを登録するためのフォームを簡単に作成できるか。
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具体的なツール例:
- Mailchimp: 海外ツールですが、無料プランがあり、初心者でも使いやすいインターフェースです。小規模であれば無料枠で十分活用できる可能性があります。
- SendGrid: メール配信に特化したサービスで、開発者向けの色合いもありますが、無料枠があります。
- その他、国内にも比較的安価な月額料金で利用できるメール配信スタンドや、無料から始められるCRM(顧客関係管理)ツールの一部にメール配信機能が含まれているものがあります。
まずは無料プランがあるツールをいくつか試してみて、皆様にとって最も使いやすいものを選ぶことをお勧めします。高度な機能は後回しで構いません。まずは「リスト管理」と「メール一斉配信」ができれば十分です。
ステップ2:お客様のメールアドレスを収集するリストを作成する
メールを送る相手がいなければ始まりません。どのようにして、お客様にメールアドレスを登録していただくか考えましょう。
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店舗での収集方法:
- アンケート用紙: 来店時に簡単なアンケートにご協力いただき、メールアドレスの記入欄を設けます。「メール会員様限定のお得な情報を配信します」といったメリットを明記し、同意を得て収集します。
- 会員登録カード: ポイントカード発行と同時にメールアドレス登録をお願いします。
- 口頭での案内: 会計時などに「メール会員になりませんか?その場で使える特典があります」などと声かけします。
- QRコード設置: 席やレジ周りに、登録フォームへのQRコードを印刷したポップを設置します。
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Webサイト/SNSでの収集方法:
- Webサイトに登録フォームを設置: お店のホームページやブログがあれば、「メール会員登録はこちら」といった登録フォームを設置します。ステップ1で選んだツールによっては、フォーム作成機能が備わっています。無料フォーム作成ツール(例:Googleフォーム)を利用し、登録されたアドレスを手動または連携機能でリストに追加する方法もあります。
- SNSプロフィールに登録フォームへのリンクを貼る: InstagramやFacebookなどのプロフィール欄に、メール登録フォームへのリンクを設置します。
メールアドレス収集の際は、「何のために利用するか」「配信解除の方法」を明確に伝え、お客様の同意(オプトイン)を得ることが法律(特定電子メール法)で義務付けられています。この点を遵守することが非常に重要です。
ステップ3:どんなメールを送るか? コンテンツのアイデアを考える
リストが集まったら、いよいよメールの内容を考えます。お客様が「読んでよかった」「お店に行きたい」と思えるような、価値のある情報を届けましょう。
- メールコンテンツのアイデア例:
- 限定クーポン/特典: メール会員様限定の割引クーポンや特別なサービスは、再来店を促す強力な動機になります。
- 新商品・新メニューの紹介: 写真付きで魅力的に紹介します。開発秘話などを添えると、より親近感が湧きます。
- イベントやキャンペーンの告知: 季節のイベント、期間限定キャンペーンなどの情報を先行案内します。
- お店の舞台裏やスタッフ紹介: 親しみを感じてもらい、お店への愛着を深めてもらいます。
- お客様の声・レビューの紹介: 他のお客様の体験談は、信頼性を高めます。掲載許可は必ず取りましょう。
- 商品・サービスに関する豆知識や活用法: 例:飲食店のメールなら、料理の美味しい食べ方、家での再現レシピのヒント、食材の選び方など。
- 地域情報: お店の周辺で開催されるイベント情報など、お店に来るついでに役立つ情報を発信します。
常に「お客様にとって役立つ情報か」「お店に行きたくなる情報か」という視点を忘れずにコンテンツを企画することが大切です。売り込みばかりにならないよう、有益な情報提供を心がけましょう。
ステップ4:メールを作成し、配信する
選んだツールの機能を使ってメールを作成します。件名、本文、画像を準備し、配信設定を行います。
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メール作成のポイント:
- 件名: お客様が「開いてみよう」と思うような件名をつけましょう。お得情報や新着情報など、メリットが伝わるように工夫します。ただし、過度に煽るような表現は避けましょう。
- 本文: 挨拶から始め、伝えたい情報を分かりやすく簡潔に記述します。長い文章は避け、箇条書きや改行をうまく使って読みやすく整えます。
- 画像: メニュー写真、商品写真、店舗の外観など、魅力的な画像を挿入すると目を引きます。
- CTA(Call to Action): 「詳しくはこちら」「予約する」「クーポンを使う」など、読者に取ってほしい行動を促すボタンやリンクを分かりやすく配置します。
- 配信解除リンク: 法令遵守のため、必ず配信解除のリンクをメールの最下部に設置します。
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配信設定のポイント:
- 配信頻度: 最初は月に1〜2回程度から始めるのがおすすめです。頻繁すぎると解除されやすくなります。
- 配信時間: ターゲットのお客様がメールを確認しやすい時間帯を想像して設定します。通勤時間、ランチタイム、夕食後などが考えられます。
ステップ5:効果を測定し、改善に繋げる(できる範囲で)
無料ツールでは限定的かもしれませんが、可能であればメールの開封率や、メール内のリンクがクリックされたかどうか(クリック率)を確認してみましょう。
- 開封率: 送ったメールのうち、どれだけのお客様が開いてくれたかの割合です。開封率が低い場合は、件名や配信時間を見直す必要があります。
- クリック率: メールを開いたお客様のうち、メール内のリンク(Webサイト、予約ページ、クーポンなど)をクリックしてくれた割合です。クリック率が低い場合は、本文の内容やCTAの配置を見直す必要があります。
これらの数値を見ながら、どのような件名や内容、配信時間であればお客様に響くのかを少しずつ学んでいきます。難しく考えすぎず、「先月より開封率が上がったかな」「このキャンペーンのクリック率は良かったな」といった大まかな感覚でも構いません。
メールマーケティング成功のための追加ヒント
- リスト収集の目標設定: 漠然と集めるのではなく、「1ヶ月で〇人増やす」といった目標を持つと、取り組みやすくなります。
- ウェルカムメールの検討: 登録してくれたお客様へ、自動で送られるお礼のメールを設定すると、丁寧な印象を与えられます。(ツールによっては無料プランでは利用できない場合もあります)
- お客様とのコミュニケーション: メールへの返信機能があれば、お客様からの声を受け付けることもできます。
- 他のデジタルマーケティングとの連携: SNSやブログでメール会員登録を案内するなど、他のチャネルと連携させると効果的です。
まとめ:無料から始めるメールマーケティングで顧客をファンに
ゼロ予算で始めるメールマーケティングは、リピート集客を目指す地域ビジネスにとって、非常に費用対効果の高い手法です。
「どのツールが良いか」「どんな内容にすれば良いか」など、最初は迷うこともあるかもしれません。しかし、まずは無料ツールを使い、お客様にメリットを伝えながらリストを収集し、定期的に価値のある情報を配信することから始めてみてください。
すぐに大きな成果が出なくても、お客様との継続的なコミュニケーションは、お店への愛着を育み、いざという時に「あのお店に行こう」と思い出してもらえることに繋がります。
この章でご紹介したステップを参考に、ぜひ今日からメールマーケティングに挑戦し、お客様を強力なファンに変えていきましょう。皆様のビジネスの発展を心より応援しております。