飲食店・店舗向け：無料ツールで実現する！来店後の効果的なデジタルフォローアップ
はじめに：なぜ来店後のフォローアップが重要なのか
多くの小規模ビジネス、特に飲食店や地域に根ざした店舗では、新規顧客の獲得に多大な労力を割いていることと思います。しかし、一度来店してくださったお客様に再度来ていただく「リピート集客」は、新規顧客獲得に比べて一般的にコストが低く、安定した収益に繋がりやすい重要な戦略です。
「ゼロ予算マーケティング術」では、無料または低コストで実施できるデジタルツールを活用した実践ノウハウをご紹介しています。この記事では、来店してくださったお客様との繋がりを深め、リピート来店を促すための「デジタルフォローアップ」に焦点を当て、具体的な手順やツール活用方法を解説いたします。難しそうに感じるかもしれませんが、基本的なステップから丁寧に進めれば、初心者の方でも十分に実践可能です。
ステップ1：来店客にデジタルでの繋がりの許可を得る・誘導する
まず、お客様にデジタルツール（LINEやメルマガなど）でフォローアップをさせていただくことへのご理解を得る必要があります。そして、そのツールへの登録を促します。
最も手軽で効果的な方法は、店内にQRコードを設置することです。
- 店内POPやテーブルPOPの設置: 「LINE公式アカウント友達登録で〇〇円引きクーポンプレゼント」「メールマガジン登録で最新情報をお届け」など、お客様にとって魅力的な特典を明記したPOPを作成します。無料のデザインツール（Canvaなど）を使えば、専門知識がなくても簡単に見栄えの良いPOPが作成できます。
- QRコードの設置: POPにLINE公式アカウントやメルマガ登録ページのQRコードを印刷します。LINE公式アカウントは管理画面から簡単にQRコードが発行できます。メルマガの場合も、多くの無料・低コストツールで登録フォームへのリンクやQRコードが発行可能です。
- 声かけ: 会計時などに、「よろしければLINE公式アカウントで、お得な情報やクーポンをお届けしております。こちらのQRコードからご登録いただけます」といった丁寧な声かけを添えると、登録率が向上します。
お客様が抵抗なく情報を受け取れるよう、強制的な勧誘は避け、あくまで「お得な情報やサービス提供のため」であることを明確に伝えることが重要です。
ステップ2：活用する無料・低コストツールを選ぶ
来店後のデジタルフォローアップに活用できる無料・低コストツールは複数あります。ご自身のビジネスの特性や、運用にかけられる時間を考慮して選びましょう。
主に以下のツールが有効です。
- LINE公式アカウント:
- 特徴: お客様との距離が近く、メッセージの開封率が高い傾向があります。チャット機能でお客様からの問い合わせにも対応できます。クーポン配信やショップカード機能も標準装備されています。
- コスト: 無料プランがあります。ただし、無料メッセージ配信数に制限があるため、友達数が増えると有料プランの検討が必要になる場合があります。
- 初心者向け度: 高い。インターフェースが分かりやすく、マニュアルも充実しています。
- 無料メールマガジンツール:
- 特徴: 比較的長文の情報発信に向いています。セグメント配信（お客様の属性や興味関心に応じた情報発信）ができるツールもあります。
- コスト: 無料プランがあります。ただし、配信数や登録者数に制限がある場合が多く、高機能なものは有料です。
- 初心者向け度: 中程度。HTMLメールなどデザインに凝り始めると少し知識が必要ですが、テキストメールであれば簡単です。
- その他のSNS（Instagram、Facebookなど）:
- 特徴: 広く情報を発信できますが、特定の来店客一人ひとりに直接的なメッセージを送る「フォローアップ」には不向きです。来店客にフォローを促し、普段の投稿で店舗の魅力を伝え続けることで再来店を促す補完的な役割と考えましょう。
- コスト: 無料です。
- 初心者向け度: 高い。ただし、継続的な投稿の企画・作成が必要です。
この記事では、特に来店客への直接的なフォローアップに適したLINE公式アカウントと無料メールマガジンツールを中心に解説します。どちらか一方、あるいは両方を組み合わせて活用することが可能です。まずは一つ、取り組みやすいツールから始めてみることをお勧めします。
ステップ3：ツールの基本設定とフォローアップの準備
選択したツールの基本設定を行い、フォローアップメッセージを送信する準備を進めます。
LINE公式アカウントの場合
- アカウント開設: LINE for Businessのウェブサイトから無料で開設できます。個人事業主でも開設可能です。
- プロフィール設定: 店舗名、業種、営業時間、住所、ウェブサイトURLなどを正確に設定します。お客様が安心して友達登録できるよう、店舗の公式アカウントであることを明確に示しましょう。
- あいさつメッセージの設定: 友達登録してくれたお客様に自動で送られる最初のメッセージを設定します。ここで、友達登録のお礼と、特典のクーポン（ステップ1で告知した場合）などをすぐに送れるように設定しておきます。
- 設定例：「〇〇【店舗名】公式アカウントに友達登録いただきありがとうございます！さっそくですが、感謝の気持ちとして【クーポン内容】をプレゼントいたします。次回来店時にぜひご利用ください。今後もお得な情報や最新メニューをお届けしますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
- ショップカード機能の設定（任意）: デジタルポイントカードとして設定できます。来店回数に応じた特典を設定することで、リピート来店をさらに促せます。
- リッチメニューの設定（任意）: トーク画面下部に表示される固定メニューです。「クーポン」「メニュー」「お店の場所」など、よく使う情報を配置すると便利です。無料でも設定できるテンプレートが用意されています。
無料メールマガジンツールの場合
- ツール選定・登録: 利用したい無料メルマガツールを選び、登録します。登録者数や配信数などの無料枠を確認しましょう。
- 登録フォーム作成: ウェブサイトをお持ちでなくても、ツール内で独立した登録フォームを作成できるものが多いです。店舗のロゴや簡単な紹介文を入れることで、信頼感が高まります。
- 登録完了メールの設定: 登録してくれたお客様に自動で送られるメールを設定します。登録のお礼や、メルマガでどのような情報が届くのかを伝えます。
- 設定例：「【〇〇【店舗名】メールマガジン】ご登録ありがとうございます。このメールアドレス宛に、新メニュー情報や季節のおすすめ、メルマガ読者様限定のクーポンなどを不定期でお届けいたします。今後とも【店舗名】をどうぞよろしくお願いいたします。」
- ステップメール機能（あれば）: 登録から〇日後に自動でメールを送信する機能です。登録直後、〇日後、△日後といった形で、段階的にメッセージを送ることで、店舗への関心を維持できます。
ステップ4：来店後のフォローアップメッセージを送信する
ツールの設定ができたら、いよいよメッセージの作成と送信です。一方的な宣伝にならないよう、お客様の心に響くような、役立つ、またはお得な情報を届けましょう。
- サンキューメッセージとお礼クーポン: 来店から数日後など、適切なタイミングで来店へのお礼メッセージとともに、次回来店時に使えるクーポンを配信します。「先日ご来店いただき、誠にありがとうございました。ささやかですが、次回来店時に使えるクーポンをプレゼントいたします。」といった形で、感謝の気持ちを伝えます。
- 新メニューや期間限定情報の案内: 「春限定のパスタが登場しました」「今週末だけ、特別ワインをご提供します」など、店舗の最新情報をタイムリーに届けます。お客様が「また行ってみようかな」と思うきっかけになります。
- お客様の声の紹介（許可を得て）: お客様からいただいた嬉しい声や、SNSでの投稿を紹介します（必ず許可を得てから行います）。他のお客様の評価は、来店への大きな動機付けになります。
- イベントやキャンペーンの告知: 「来月、当店でミニライブを開催します」「〇〇フェアを開催！」など、集客に繋がるイベント情報を告知します。
- ちょっとした豆知識やコラム: 店舗のこだわり（食材への思い、調理法）、地域情報など、お客様が楽しめるコンテンツを配信します。これにより、単なる宣伝ではなく、店舗のファンになってもらうことを目指します。
配信頻度は、高すぎると迷惑に感じられ、低すぎると忘れられてしまうため、バランスが重要です。週に1回や月に数回など、無理なく続けられる頻度を設定しましょう。
ステップ5：効果測定と改善
デジタルマーケティングの利点は、効果を数値で測れることです。ツールが提供する機能を使って、配信したメッセージの効果を確認し、改善に繋げましょう。
- メッセージの開封率: 送信したメッセージがどれくらい読まれているかを確認します。開封率が低い場合は、件名や最初の数行を見直す必要があります。
- クーポンの利用率: 配信したクーポンがどれくらい使われたかを確認します。利用率が低い場合は、クーポンの内容（割引率、利用条件）や、配信方法（タイミング、訴求方法）を検討し直します。
- ウェブサイトへのアクセス数: メッセージにウェブサイトへのリンクを含めた場合、そこからのアクセス数を確認します。
- LINE友達数/メルマガ登録者数の推移: 着実に登録者が増えているかを確認します。増えない場合は、ステップ1の誘導方法を見直す必要があります。
これらの数値は、多くの無料・低コストツールで確認できます。定期的に効果測定を行い、「どのような内容のメッセージがお客様に響くのか」「どの曜日の何時に送ると効果が高いのか」といった傾向を把握し、次回の配信に活かしていくことが重要です。
まとめ：ゼロ予算から始める来店後フォローでファンを育てる
来店後のデジタルフォローアップは、無料・低コストのデジタルツールを活用することで、初心者の方でも十分に実践可能な集客手法です。LINE公式アカウントや無料メールマガジンツールを使い、来店してくださったお客様に丁寧なメッセージを送ることで、お客様は「忘れられていない」「大切にされている」と感じ、再来店への動機が生まれます。
高額な費用をかけずとも、店内での声かけやPOP、そしてデジタルツールを組み合わせることで、お客様との良好な関係を構築し、リピート率を向上させることが期待できます。
まずは、この記事で紹介したステップのうち、取り組みやすそうな部分から一つずつ試してみてください。継続的に情報を発信し、お客様との繋がりを深めていくことが、ゼロ予算で顧客をファンにするための重要な一歩となります。